1. シドニー日本人国際学校に入学した年、経緯を教えてください。

2019年4月にシドニー日本人国際学校(以下SJIS)に入学しました。中学2年生になる時に、父の仕事の都合により日本からオーストラリアに移住しました。

2. 学校生活で一番楽しかったこと

SJISでの学校生活で一番楽しかったこと。こういった場合は何かの行事をあげるのがベストだと思うのですが、僕の中での学校生活で一番楽しかったことは学校で過ごす日常でした。

朝に学校で小学部の子と雑談をしてから授業が始まり、先生たちが授業で話す興味深い話。国語では小説を書いたり、社会では株のシュミレーションをしました。また、理科では日本の未来の電気供給についてクラスメイトと意見を出し合い、数学では世の中の騙されやすいところを数式を通して学び、英語ではSJIS内での交流を通して言語を学びました。上のような画期的で面白い授業が多くあるため、授業もとても楽しかったです。

中休み昼休みも、時にはハイスクール(SJISの中学部)全員で、時には学年の壁を超えて、オーストラリアの遊びや日本の遊びなどをしました。そこには常に笑いがありました。帰るときのバスでの帰宅中も、同じバスラインの友達とゲームをしたり互いの学校生活の話をしたり。よく遠足は家に着くまでが遠足だと言いますが、僕はそれに似たようなものを毎日感じていました。本当に、SJISでの日々は「楽しさ」に満ち溢れていました。

 

3. 一番苦労したこと

僕が一番苦労したことは、シドニーでの生活の最初の半年間でした。たまたま、その時期にハイスクールのメンバーが少なく、さらには男子が僕だけだったため、生活に慣れるのに苦労した記憶があります。でも、そんな苦労も今となっては最高の思い出です。ハイスクールでは男子の友達は、当時はいませんでした。しかし、それでも、下の学年の子が僕に関わってくれたり、先生方が支えてくださったこともあり、楽しい学校生活を過ごすことができました。他にも、僕は受験で緊張して受験前には小学部の子に相談したりすることもあったのですが、みんな一生懸命話を聞いてくれました。僕のように、生活に慣れなかったり辛いことがあったりしても、SJISの先生方、生徒のみんなは心からそのことを受け止めてくれます。そういったところがSJISの良さだと思っています。

 

4. 志望校を絞るにあたって、その背景となった経緯

今僕が通っている国際基督教大学高校(以下ICU高校)について書きたいと思います。

まず、ICU高校を表現する言葉として「クラス一つが世界」というものがあります。

僕はこの言葉に惹きつけられて、ICU高校を志望しました。では中学生の僕は、なぜこの言葉に惹きつけられたのでしょうか。

僕はシドニーで生活するようになってから、自らの価値観が大きく変わったと思っています。たくさんの人と、学校生活や日常を通して関わってきたことによって、大きく成長できたと思っています(ちゃんと成長できていれば良いのですが笑)。

そしてよく、世界にはこんなにすごい人がいるのだと痛感させられました。そこで中学生の僕は、もっとたくさんのいろんな人と会って、関わってみたいと思うようになりました。そこで、どんな高校が日本にあるのだろうと探していたら、ICU高校を見つけました。「クラス一つが世界」、僕が行きたいのはここだ。そう強く思った記憶があります。

 

5. 受験に際し取り組んだこと。工夫したこと。

僕の場合、受験は面接だけでした。しかしながら、一定のラインを超えた成績が必要だったので、日々の授業と定期テストを通して高い成績を取れるように日頃の学習に取り組みました。

他にも、受験には英語資格が必要でした。そのため、その資格をとるために英語学習を学校の授業とは別に行いました。受験は、2020年の12月に行われました。オンラインで面接試験でした。面接という試験形態だからこそ、相手がどんな人なのか。どんな質問をしてくるのか。自分のどんなところに注目して評価を行うのか。そういったところが実際の試験に臨まないとわかりません(臨んでもわからないかもしれませんが)。そのため、家族や学校の友人、そしてたくさんの先生方に面接の練習を手伝っていただきました。そこで模擬で試験を行うことによって緊張に慣れることができました。しかし、ただ模擬で面接をするだけでは自分の改めるべきところを改善することができないのではないかと思い、面接練習をした後に評価をしてもらい、その評価を表にしてまとめて改善に繋げました。

 

6. 受験に際しての先生方の姿勢、協力

5番目の質問のところでも書いた通り、僕の受験における試験は面接だけでした。面接だけならそこまで気を張ることもなかったんじゃないかと思いますが、面接前の僕は今までにないくらい緊張していました。前の質問にもある通り、慣れるため面接の練習をたくさんしました。多分50回くらいしたと思います。SJISの先生方は、朝の学校からの時間から中休み、そして昼休みまで面接の練習に付き合ってくれました。

ICU高校の帰国生推薦では例年自己PRカードというものを書く必要があります。いわゆる自己推薦書です。2000文字程度を書いたのですが、先生方は僕が書き直すたびに間違っているところを訂正してくれました。他にも、ハイスクールの下の学年の生徒たちが受験前に壮行会を開いてくれました。そういったものも先生方の協力がないとできないものです。だからこそ、たくさんの面で先生方が協力してくれました。そして、そういった支えがあったからこそ合格があったのだと思います。

 

7. 海外生活で培ったこと

海外生活で僕が培ったもの、得られたものはここに書き切れないくらい多くあります。今回は、その中から一つだけ紹介させてもらおうと思います。

僕は、海外生活でたくさんの価値観をもつ人と関わって、その経験を通して、「他の価値観や考え方を認められる」ということを培えました(まだまだ未熟ですが…)。その価値観を認めるということを培えたことによって、今までにないくらい多くのものを吸収できるようになったのではないかと思います。例えば、自分には全く価値がないと思ってたものに対して、その意図や価値観を認めて見つめることによって意外と有益なものを得られた、などということです。その考え方は、自分の国から抜け出して、少し離れた場所に立つことによって得られたのではないかと思います。それはとてもありがたい経験であり、海外で生活するという貴重な経験をしたことによって得られたものだと思っています。

 

8. シドニー生活の中でお気に入りの場所や、オーストラリアの中で友達に勧めたい旅行先があれば教えてください。

僕のシドニーでのお気に入りの場所は、ハーバーブリッジがある、海に臨む街ミルソンズポイントです。現在オーストラリアに住んでいる方が読まれているならば、「え!そんなところ!?」と驚いているかもしれません。そんな方は、なぜ僕がそう思っているのか、以下の文章を是非読んでみてください。

僕はよく学校の友人とミルソンズポイントでよく鬼ごっこをしたりして遊んでいました。ここで今、「中学生が鬼ごっこをして遊ぶ」という文章で更に驚いている方がいると思います。安心してください、街中を使って歩き回りながらする鬼ごっこは意外にも、とても面白いのです。そして逃げたり、追いかけたり、その移動する過程で友達としゃべったり。ミルソンズポイントでの鬼ごっこには、ただ「追いかけ合う」だけじゃない楽しさがありました。

また、僕は自分一人でも2回ほどミルソンズポイントに行ったことがあります。一回はランニングで、2回目は帰国をする直前にふらりと。ランニングをした時はゴールをミルソンズポイントと決めて走りに行ったのですが、ゴールした時に見たシドニー湾はとても綺麗でした。2回目に行った時は、学校から家に帰った後、急にミルソンズポイントに行ってみようかなと思ったので行きました。行ってただ海をぼーっと見てただけなのですが、その時にシドニーでのたくさんの思い出が頭に浮かんできたのを覚えています。話がとてもそれましたが、質問の「オーストラリアの中で友達に勧めたい旅行先があれば教えてください。」というものですが、僕はたった数時間でも、日常とは違った場所に行ってみることをお勧めしたいです。

いつもはあまり行かないブッシュウォークだけど、行ってみよう、あまりビーチには行かないけれどビーチで歩くだけでも行ってみようかな、などといったこと。たったそれだけ、その数時間で何かいつもと違った何かを感じられるのではないでしょうか。

 

9. 思い出に残るエピソードやSJISならではの行事があれば教えてください。

僕がいたYear9は、数回理科の授業でペットボトルロケットをやっていました。(もちろん遊びではありません。れっきとした実験、授業です!)ペットボトルロケットは上手く飛ばせれば数十メートル、物によっては百メートルを超えることもざらにあります。そのためYear9は中庭及びグラウンドでロケットを飛ばしていました。飛ばすときは、屋外の端っこから校舎に向けて発射していました(校舎に当てようなどという考えは一切ありません!そっちの方が安全だったからです)。しかしながら、物事は思い通りに全てがいくわけではなく。何回か発射したロケットが校舎の屋根に当たってしまうことがありました。

しかし、これを読んでいる皆さん、これがオチではありません。なんと発射して屋根にロケットを当てた後の数日間、僕はキンディの子からハイスクールの生徒にいたるたくさんの人から学校を破壊しようとしたとしてイジられてしまったのです!もちろん破壊しようなんていう考えは全くありませんでした。でも僕はこの話に、この学校のよさが詰まっていると思います。たくさんの人からイジられるというと聞こえはよくないと思います。でも、キンディからハイスクールまで。生徒が学年の壁を感じずに関わり合える、そういった「楽しさ」がこの学校にはあります。

それに、Year9がロケットを飛ばしている時。廊下を移動している先生から生徒、そしては休み時間の児童たちがYear9のペットボトルロケットを見てくれていました。飛ばしたその瞬間に、「わあ!」という声が学び舎に響く。このSJISの学校生活では、ペットボトルロケットの事のように、一つ一つの出来事を学校のみんなで楽しむということができます。これはあくまで学校の日常です。しかし、校外学習でサーフィンを学んだり、一つの英語劇を学年で作り上げたり。このような「この学校でしか体験できない!」行事がSJISには多く存在します。

 

10. 志望校入学後の学校生活について

はっきりいって、僕の今の学校生活は予想していたものと全く違いました。

尊敬できる素晴らしいクラスメイト。そして熱心に教えてくださる先生方。

僕のクラスには20ヵ国弱のそれぞれの過ごしてきた国からやってきた生徒が集まっています。よく滞在していた国はどんな国だったのかと話したりするのですが、その話には聞いたことがないような話が多くあったりして、つくづく世界は広いなあと思ってしまいます。

また、それぞれのバックグラウンドで得た経験をもとに、それぞれがめざす未来へ本気で勉強や部活、課外活動に取り組んでいるのを見ると、とても刺激されます。

僕の今の学校生活は、予想を遥かに超えるほどに充実しています。そしてつくづく、ここで生活できているのはシドニーでのたくさんの人の支えがあったからなんだなあと感じさせられます。

 

11. SJISへの入学を考えている方へのメッセージ

最後に、SJISへの入学を考えている方へのメッセージとして僕の思うことを伝えさせていただきます。

SJISは日本の学校にない、またオーストラリアの現地校にもない魅力が多くあります。しかし、上の文章に書いてある通り、SJISの魅力はそのバイリンガル教育や他にない行事だけにとどまりません。この学び舎での日常生活にはたくさんの新たな発見があるはずです。

そして得た発見や経験は、SJISを卒業したあとの毎日でも大いに生きるでしょう。SJISの教育理念として「懸け橋」というものがありますが、SJISでの毎日は、学校で生活する一人一人を未来の懸け橋として成長させてくれます。是非、SJISでの毎日を楽しんでください。